「低周波被害について医学的な調査・研究と十分な規制基準を求める意見書」

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低周波被害について医学的な調査・研究と十分な規制基準を求める意見書
 日本弁護士連合会の意見書です。
20131220 低周波被害について医学的な調査・研究と十分な規制基準を求める意
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「風車建設計画の嘘」


地球温暖化対策と言っているけどそれはウソ。

国の方針では再生可能エネルギーの導入目標は

全体で24%そのうち風力は1.7%です。

以上は将来の目標

安岡風力が出来ても火力発電から排出されるCO2は減少できない。

なぜなら、中電の火力の出力は一基最低でも20万KW、最大は70万KWです。

安岡風力の6万KWが安定していればその分出力を落とせるが、

風力は出力が激しく変動するので、はっきり言って、

風車が発電しても、その分蒸気を大気に放出して

電力需給を調整するので、CO2は減少しません。

 

エネルギーの安全保障と言っているけど意味不明。

これが原発代替と言うなら、それは大きな間違い。

幾ら風力が増えても原発は一基も減らせない。

それは国が言っているように1.7%だからです。

その意味は、風力の変動する電力は原発、火力の安定した電力に混ぜる物にしか

ならないからです。

 

地元の経済効果

これは、言い方間違っています。

建設による自分の儲けと言いなさい。

漁業は衰退するでしょう。

運転要員の雇用は生まれない。

現在は、インターネットでの遠隔監視です。東京の事務所で監視するでしょう。

現実に、山の中の水力発電所には人はいません。

せいぜい電気主任技術者1人いればOKでしょう。

修理については、部品は輸入品、重機は県外、技術者は外人、

作業員は地元とは限りません、専門業者の可能性高い。


「風力発電の真実とは」

 

平成27年1月7日

武田恵世 歯学博士 歯科医師 三重県伊賀市、

〈社会貢献活動経歴〉

・環境省希少動物保存推進委員

・伊賀市環境保全市民会議レッドデータブック

 作成委員会委員長

・三重県公共事業環境検討協議会委員

・伊賀市総合計画策定委員会委員長

・介護認定審査会委員

 風力発電は自然エネルギー、再生可能エネルギーの象徴です。CO2を出さない自然に優しいエネルギーだ、原発の代わりになる、とCMや政党のポスターまで飾っています。あまりにもイメージが良いので私も1999年、地元三重県の青山高原に自治体全国初の風力発電ができた時には、出資や会社設立まで考えていました。

 欧米では日本より約10年前から建設が進み、安価に建設でき自立できるようにするためにと、発電した電気を高く買いとる制度、多額の補助金、税制優遇、低金利融資などの手厚い政策が実施され、建設が進み、特に洋上風力は洋上の風は強く一定で安定だから有望だとされ盛んに建設されました。しかし、欧米のような海岸から20~40km離れた洋上でも風速は平均では確かに陸上よりも強いものの、一定でも安定でもありません。海岸から数km沖程度では陸上とさほど変わらないのです。結局、この約20年間これほど優遇されたのに体して安価にならず、手厚い優遇策なしでは発電できず、将来的にも自立できる見込みがないことが明らかとなってきました。また、それ自体はCO2を出さないものの電力系統全体としてはCO2排出削減どころか、逆に化石燃料の消費を増やしてしまい、原発の代わりなどにももちろんなり得ないものだと言うことがわかってきました。ヨーロッパのどの国でも風力発電を増やしたことで結局のところCO2の排出量はかえって増やしてしまいました。その主な理由はどうしてもバックアップ用の火力発電所が必要なのですが、火力発電所で水から蒸気を沸かすには時間がかかるので常に低出力で蒸気を沸かしておく必要があり、そのために燃料が余分にかかってしまったためでした。

 アメリカのデータによると、風力発電の出力変動に合わせて火力発電所の出力を調整すると、火力発電所だけで発電した場合よりかえって硫黄酸化物、窒素酸化物、CO2の排出を増やしてしまいました。火力発電所の出力変動を頻繁にしたためでした。自動車の燃費が一定の速度で走り続けている時に最も良くて、急停止、急発進を繰り返していると悪くなるのと同じです。私が乗っている車も約16kmのアップダウンの多い丘陵地帯を走るのに、スムーズな時は24km/リットルですが、渋滞にあうと9km/リットルにまで低下します。感覚的にもわかりやすい話です。

 大規模な蓄電池、送電線の強化、スマートグリッド、スペインのような再生可能エネルギー制御センター、これらは風力発電や太陽光発電などいつどれくらい発電するかわからない発電装置を大量に入れるために必要なもので、中小水力発電、地熱発電、バイオマス発電などを増やす場合には特に必要としません。結局のところどの専門家も、風力発電の問題点解決のためには「更なる技術開発、更なる大規模な投資が必要だ」としています。また景観はもちろん人間や自然環境、特に海洋環境への重大な影響は世界中で大問題になっています。風力発電はCO2削減の手段であって目的ではないということが忘れ去られ、日本では欧米の失敗を全く参考にせず、単に10年遅れで、優遇政策をマネし続けています。大規模な投資だけが目的とかしたような感があります。戦時下の軍部と同じく、失敗しても決して失敗と認めない、だから反省しない、だから誰も責任をとらない、ということを繰り返しているようです。

 下関市の市民運動はこうした重要な問題点を炙り出したとも言えます。多くの地元住民が反対し、議会まで反対しているのにあくまで強引に進めようとしています。これは利益を得るために他なりません。その利益が地元企業や漁業補償などに回るのはわずかで主に事業者と投資家のものとなります。国の優遇策による破格の固定買取価格、日本政策投資銀行等による超低利融資、税金の減免、補助金、再エネ賦課金等によるものです。

 また、環境アセスメントは巨額の補助金で行われますが、事業者が自主的に行う形式的なものに過ぎず、開発行為の是非を問うものではありません。国も県も市民もいくら意見を言っても反映するかどうかは事業者の自主判断次第とされています。要綱などに定められた説明会も是非を問うものではなく、いくら異論反論が出ようと開催すればそれで良いとされているに過ぎません。巨大開発について民主主義が機能する制度は実はないのだと言って良いと思います。

 これは本来戦時立法である緊急措置法、特別措置法を長年平時にあるにも関わらず続けている問題であり、特別会計というチェック機能のない大規模な補助金制度の問題でもあり、特例であるはずの赤字国債を際限なく発行し続けていることにも繋がります。今時緊急に特別に巨額の税金を投じて進めなくてはならない事業などもはやないと言って良いでしょう。かつての私のように風力発電は良いものだとしか聞かされていなかった人たちにはショックな事だと思います。しかし事実がわかったら何とかしようではありませんか。

下関市民の運動がこうした根本的な制度の問題をも改め、本当に役に立つ自然エネルギーを進める大きな力になるように期待したいと思います。

 

以上


安岡沖洋上風力発電の問題点 :それでも風力に賛成ですか?

名古屋工業大学名誉教授 牧 巖

平成27年1月6日

低周波音のいろいろ

 自然音にも、音成分として低周波音が多く含まれている。それらは例外を除き基本的に人や動植物に無害である。一方、現代の高度な機械文明の下では、人は大小のありとあらゆる種類の機械音に取り込まれて過ごしている。それらの音には、耳には聞こえ難くても、心身に有害な作用を及ぼす低周波音成分が多く含まれている。

 にもかかわらず、さして苦痛を感じなくて済んでいるのは、低周波音の感度が鈍い人は論外として、その種の音が弱いか、強くても一時的で長く続かないか、またはその現場から離れることが容易だからである。

 風力発電の場合は、事情がまったく違う。風車は問題の低周波音の発生源として超強力である。風さえあれば回って、低周波を発生し続ける。苦しくても、我が家を離れるわけにはいかない。しかし最終的に家を放棄せざるをえなくなるケースが、国内外で多く発生している。

 低周波音による健康被害は、自律神経失調症、不定愁訴に似ている。音源から離れると症状が消えたり軽くなるので、因果関係は明らかである。ただ発症の機序(仕組み)が不明で、誰がいつ被害者になるか予知不能である。数ヶ月から数年の潜伏期間を経て発症する遅発性事例も報告されている(音アレルギー?)。“分かったら地獄”なのだ。

行政の対応は腰が引けている。被害の認定基準がないので、苦痛を訴える人は被害者でなく苦情者と呼ばれる。環境省が出した”参照値”は、一般騒音公害等におけるような基準・規制値と違い、苦情が低周波音によるものかどうかを判定する目安にしか過ぎない。

被害を行政に訴えても、測定値が参照値以下であれば、苦情は低周波音によろものでなく、苦情者自身の問題とされてまずは終わりである。汐見文孝氏が、参照値を“地獄の沙汰”と呼ぶわけである。実際に同氏が調査した二三の被害例のうち、参照値を超えていたのはわずか四例であった。一方で事業者は、参照値を国による安全の証であるかのような誤解をふりまいている。

 参照値が適用できるのは、音源が固定していて、低周波の音の発生がある時間持続し、音圧レベルの変動が少ない場合である。これは参照値を決める際の実験条件と関わりがある。風車からの騒音・低周波音は、回転が風速で変わるので、音圧レベルや周波数特性が変動し、また風向きで音の拡散方向も変わるため、参照値が適用できない。風車騒音の評価には、一般環境騒音の評価に使われているA特性音圧レベル(LA)が世界的に適用されているが、これは低周波音領域を極端に小さく評価したもので大いに問題である。

音の構成要素には、大きさ(音圧)・高さ(周波数)のほかに、音色(波形)がある。低周波音による不快感(アノイアンス)を高めるものに“振幅変調音”が報告されている。これは可聴周波音の振幅が低周波音の波形で変調されたものである。ただこれと健康被害との直接的な関連は十分明らかでない。

 また周波数が近接した二つの可聴周波数の間では、干渉によってその差の周波数に相当する“唸り”低周波が発生する。それが五~六ヘルツ以下なら通常の唸りとして聞けるが、それ以上の周波数では不快な連続音になるとのことである。これらの低周波音は、聞こえる耳には定めし“汚れ”たものに違いあるまい。

 巨大な風車・発電機のまわりには、広いスペクトルをもつ音波で構成された一大音場ができる。そこでは前述のような音波間での変調、干渉をはじめ、さまざまに複雑な相互作用が生じるものと想像される。風力発電では、その出力の不安定さを軽減するために、複数の風力発電機を組み合わせたウィンド・ファームという形態をとる。それによって音場がいっそう大規模化する分、有害な低周波音の発生も増すことであろう。風車の配置も、音の波形に大きく影響すると考えられる。

 事業者は、自然環境の低周波音レベルに風車からの想定音レベルを加えても、全体はさして大きく変わらず、問題はないと強弁する。しかしそれは音レベルの話であって、重畳する風車からの低周波音の質的な面(音色)には、意図的にかどうか触れようとしない。

風車からの低周波音は、自然界にある低周波音と異なり“汚れ”ている。自然界に似たもの有りとせば、それは地震・津波や火山噴火などの天災時においてかもしれない。

低周波音に敏感な人々は、生物としてはむしろ優れた機能を残したばかりに、風車病のような不運に見舞われる。静穏な環境であれば、この人たちは一般人より遙かに豊かな音世界に暮らせたはずだ。野生動物またしかりである。生物の一因として大いに心したいことである。

 

風力発電の実力は?

 風力発電の最大の弱点は、その設備利用率の低さにある。風車は風が弱くては回らないし、強風時は安全のため停止させる。日本での平均稼働率は20%程度とされている。安岡沖に設置が計画されている風力発電機の設計上の出力が一基あたり4000㌗であっても、設備利用率をかけると実効出力は僅か800㌗でしかない。風力発電の公称出力は全て定格出力であって、実効出力ではない。太陽光発電についても同様である。両社を明確に区別しなくてはいけない。

 原子力がダメだから自然再生エネネルギーの風力を、との論がある。しかし、一基4000㌗の風力発電で、原子力発電プラントの一基100万㌗を代表させようとすれば、それだけで計算上1250基が必要である。250基ではない。これがいかに非現実的な数字であるかすこし考えれば明らかだ(安岡沖にいま計画されている洋上風力発電機は15基である)。

 風力発電はCO2を出さないからエコだ、クリーンだと単純に考えがちである。また実際風力推進側はそのように宣伝している。風力発電は風まかせだから、電源としての安定性に欠ける。そのため出力のわずかな変動にも即座に対応できるよう、バックアップ用に機動性の高い火力発電プラントを常時運転・待機させておかねばならない。ボイラーの空だきだってある。これによる多量のCO2排出のほか、燃料の無駄遣いによるコストの上昇が無視できない。このことは意外に知られていない。

 

風力発電は環境に優しい?

 太陽光発電はむろん、風力発電も風という媒体によって間接的に太陽光エネルギーを利用している。太陽光も風も、エネルギーが空間に広く薄く”分散”していることが特徴である。対する既存の発電方式で使われる化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)は、太陽光を利用して生きた太古の生物の大量の遺骸が、長大な地質時間の中で高温・高圧の下に変質と”集中”の過程を経てつくられたもので、太陽光エネルギーの化石といえる。

 広く薄く分散した自然再生エネルギーを利用しようとすれば、改めて“集中”の過程を人工的に用意しなくてはならない。それが風車であり、太陽光ならメガソーラーである。設備は必然的に大型にならざるをえず、製造・設置・維持のコストはしたがって膨大なものとなる。地表面あたりのエネルギー密度が小さいので、出力を上げようとすれば、さらに風車を巨大化し、数も増やさなければならない。それには広大な面積の土地あるいは洋上風力であれば海面を必要とする。その結果は、いわずと知れた大規模かつ深刻な自然と生態系の破壊である。景観の破壊により、人心も荒廃せざるをえなくなる。

 最新のコンバインド・サイクル(GTCC・・Gas Turbine Combined Cycle)といわれる発電方式は、天然ガスを燃焼してガスタービンを回し、さらにその余熱で蒸気を作り蒸気タービンを回して発電するもので、発電効率は60%を超え、従来のボイラー型より5割以上向上しているという革新的なものである。現在東京電力が川崎発電所構内に建設中の二基のGTCCは、一基あたりの出力が71万㌗で、この二基だけで安岡沖に計画されている風車1800基分の電力を、年間を通じていつでも安定的に供給できる。しかも自然と生態系への影響、環境負荷は、はるかに軽くて済むのだ。

 

風車から遠ければ大丈夫?

 低周波音による被害に関連して、風車からの距離が問題にされる。安岡沖の場合、陸地から1.5㌖離したから大丈夫だと事業者は主張する。むろんこの数字には何の根拠もない。距離以外にも考慮を要するものに、逆転層による音の伝搬がある。大気温度は通常は高度とともに低下するが、気象条件によっては逆転層と呼ばれて、逆に高くなる部分ができることがある。風車から上方に発散された音は、通常はそのまま上空に抜けるが、逆転層があると、音はこの層内を伝って予期しない遠方にまで伝わり、ふたたび地上に降り注ぐ。放射冷却による逆転層の生成はごく身近な現象で、遠くの列車音や船の汽笛がすぐ近くのように聞こえるのがそれだ。逆転層が出現する場所、規模、種類は気象条件に大きく影響され、予測は困難である。風車から遠いといって安心できない。また低周波音は、減衰が小さい上、大きい障害物があっても楽々と回り込む(回折現象)。風車が直視できない奥まった場所にでも楽々と到達できるのである。

 

地球は温暖化し続けるか?

 20世紀後半に地球温暖化が進んだことは間違いないが、人工衛星からの赤外線による全球観測では、21世紀に入って地球全体の平均気温の上昇は止まるか、むしろ下がってきているとのことである。またCO2増加と気温上昇の間には、相関が見られなくなったようだ。その原因が太陽の磁気活動低下による太陽系内の宇宙線量増加に求められている(スベンスマルク効果)。地球大気圏に到達した宇宙線は、大気圏の窒素や酸素などの分子と衝突してイオン化させる。それらは水蒸気凝結の核となって雨粒を形成し、やがて雲ができる。雲量が増えれば、雲によって太陽光が反射されるため、地球の温度は低下する。地球寒冷化が沙汰される所以である。

 CO2温暖化説には、かなり政治的な諸々の作為があったことが分かっている。であればCO2削減を大義名分に、何が何でも高コストで使い勝手が悪く、大規模な環境破壊が不可避な自然再生エネルギーの導入を、なぜこれほどまでに急がねばならないのか、大きな疑問が湧く。ただCO2の削減には、海洋の酸性化防止など別件の緊急性もある。事態を見極めながら対処しなくてはならないが、今は高効率のGTCCの普及によって、電力を安定確保するとともに環境負荷の軽減をはかるのが最善と思われる(欧州で主流の考え方である)。

 

日本で有望は自然エネルギーは?

 それは水力と地熱である。ダムの必要がなく、水路の設置だけで済む「流れ込み式」の未開発分合計出力は、4000㌗級風車だと約一万基分(設備利用率22.3%として)ある。地熱は、発電建設の適地の多くが国立あるいは国定公園内にあること、また温泉水の枯渇を恐れる業者の反対のために、利用はあまり進んでいない。そこで考えられるのが、マグマに熱せられた高温岩体に直接水を送り込んで蒸気を作りタービンを回すというものである。これなら温泉水を使わないので、温泉水枯渇の心配がなく、優に火力発電に匹敵する規模の電力がえられるだろう。

 

家計はどうなる?

 政府は洋上風力発電に対して、固定価格買い取り制度の買い取り分を千節誌、買い取り価格を36円/kWh(税抜き)とした。買い取り期間は20年間である。参考までに陸上風力に対する買い取り価格は23円/kWhである。この以上に高い買い取り価格は、電気料金に上乗せされて(再生可能エネルギー賦課金、)、結局は私たちが負担することになる。踏んだり蹴ったりとはこのことだ。

 

低周波音に溢れる未来生活

 今でさえ低周波音に満たされた私たちの生活環境は、この先さらに低周波音に溢れたものになりそうである。それはエコをうたいながら、その実低周波音を多く発生する新種の家庭電化製品の普及である(エコキュウート、エコウィル、エネファームなど)。いま最も普及しているエコキュート(電気湯沸かし機)は、エネルギー効率が高い(?)として、政府が地球温暖化対策の一環に補助金まで出して推奨した(2001年4月製品化)。

 これはヒートポンプ方式を採用し、空気中の熱を利用して湯を沸かすものである。商用周波数60ヘルツを半分の30ヘルツ、あるいはさらにそのまた半分の15ヘルツに落としてコンプレッサー・モーターを駆動する。その分駆動音が低くなり、低周波となって人の耳に聞こえ難くなる。これが静音化といわれるものの実態なのだ。低周波音の持続時間はその分長くなる。この低周波音による被害を巡って隣人間で紛争が多発している。製造・販売業者は自らに不都合なことは一切言わないし、製造業者は製品知識をまったく持っていない。隣家との距離、設置の位置や方向に注意さえしていれば、被害を未然に防げたかもしれないのである。最近になって経産省はやっとこの問題の存在を認めた。

 これからの時代、自他ともが平穏な環境で暮らそうと思えば、音とりわけ低周波音に関する知識と高い意識が欠かせない。加害者にはむろんのこと、被害者にならないよう十分注意しなくてはならない。

 低周波音による健康被害は、現在の新たな公害である。そう遠くない過去に、この国は人命より経済を重視し優先させてきた結果、問題の早期解決の時期を失して被害を拡大させ、悲惨な大規模公害を次々と引き起こした。その影響はいまだに続いている。人間を含むあらゆる生命にとって、環境こそが至高の生存条件なのである。